人生の後半

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不定冠詞と定冠詞

日本人は定冠詞と不定冠詞の使い分けが苦手な人が多いように思う。
ある雑誌の記事で、東京農工大学名誉教授の小谷先生が、英語の不定冠詞である「the・a」が日本語の助詞「は・が」に対応していると考察されており、感心しながら読ませて頂いた。

「桃太郎」の英訳で比較してみる。

Every day the man gathered firewood in the mountains and his wife washed clothes in a nearby stream.
「おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました」
この文章では、「the man」が「おじいさんは」と対応しており、「the」は「は」に対応している。

One day, as the old woman was doing her washing, an enormous peach came bobbing downstream.
「おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました」
この文章では、従属節では、「the old man」は「おばあさんが」に対応しており、主節では、「a peach」と「桃が」が対応している。
この場合でも、主節と従属節を「おばあさんは川で洗濯をしていた」「すると、大きな桃が流れてきました」と分解することにより、「the old man」には本来「おばあさんは」が対応すべきだということに気づく。桃に注目すると、不定冠詞「a」は日本語の助詞「が」に対応している。

他の英文を和訳してみても、この法則はだいたい成り立っているようだ。
そして、所有格代名詞は定冠詞の機能を含んでいる。
そこで、前回記事の続きであるが、人物を特定せずに私の友達と言いたい場合、“my”は定冠詞の意味を併せ持ってしまうので“my”は使えない。すなわち“a friend of mine”という他ない。“a friend”と“the friend”との関係が、“a friend of mine”と“my friend”の関係と考えれば良い。