科学と人生について考えてみた

旧タイトル:科学の技法

京大iPS研究所での論文不正について

京都大は22日、iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)特定拠点助教(36)の論文に捏造(ねつぞう)と改ざんがあったと発表した(共同通信社)。

この騒動が、山中伸弥教授の辞任問題にまで発展している。

NatureやCellなど一流ジャーナルであっても、内容的に人類に役立つ記事もあれば、興味深いがあまり役立たない記事、眉唾ものの記事など様々である。科学者は賞を狙う傾向にあるが、科学の世界で賞を取れるかどうかなど、運もあれば政治的な力も働く。ノーベル賞候補と騒がれながら、賞を取れないまま終わっていく人も多く、不公平感は否めない。例えば、子供がよく読む偉人伝に必ず出てくる細菌学者の野口英世先生はノーベル賞を受賞していない。「岡崎フラグメント」を発見した岡崎令治氏も、ノーベル賞は受賞していない。「岡崎フラグメント」とはDNAのラギング鎖が複製されるときに生成されるDNAの短い断片のことであり、どの分子生物学の教科書にも記載されているような重要事項である。DNAの複製は、私達の生命の源であり、複雑かつドラマチックな現象である。こういった背景を考えると、このニュースの裏側にある深い闇の部分が読み取れる。iPS樹立という業績はもちろんノーベル賞に値する。しかし、このニュースの記事を読んで私が心配するのは、再生医療の分野は莫大な予算が投入されていながら、その金額に見合うだけの臨床応用の見通しが立っていないのではないかということである。